ケジラミ (Pthirus pubis)

主に陰毛に住み着くシラミ。アポクリン汗腺を栄養源として好むため陰毛に多く住み着くが、稀に頭髪、眉毛、口髭などにも寄生する。横幅が広いカニのような形をしており、英語ではクラブラウス(カニジラミ)と呼ばれている。体長は0.8〜1.5cm程度で雌の方がやや大きい。灰褐色で羽はなく、やはりよく発達した足を持つ。この足で毛根部にしがみついて移動し、一日に数回吸血する。

アタマジラミ同様、卵から幼虫を経て成虫となる不完全変態で、孵化後約3週間で成虫となる。成虫は約3週間生存し、毎日2〜3個、トータル30〜40個の産卵をする。生涯人間を離れることはなく、他の動物には寄生しない。

陰毛に住み着く習性上、性行為が主な感染経路であり、そのため話題に上ることも少なく現代のタブーのような虫となっている。毛根に強固に固着していること、水中では毛にしがみつくためプールなどでは感染しないこと、寝具や下着、ブラシなどを介して感染すること、現在では感染症の媒介とはならないことなどはアタマジラミと同じである。

アタマジラミと異なるのは、その強烈な痒みである。ケジラミはアタマジラミより遥かに深く皮膚に口を差し込むため、痒みはアタマジラミの比ではなく、人によっては痛みまで伴う。また、刺されたあとに青い反転が生じることも特徴的だ。

予防法もアタマジラミと通ずるところが多いが、ケジラミの最大の予防法は不潔な性交渉やケジラミの保有者との性交渉を避けることである。また、寄生個所が陰毛のため大流行することはなく、もっぱら個別的に発生する。

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